『分からないところはないか?』

午前のフロントの業務を終えて、裏で
事務仕事と、各部署の広報誌を作成
していると、フワッと香るシトラスの
香りに振り返った

「‥‥‥お疲れ様です‥‥ビックリ
 しました‥」

気配に気付かなかったのか、それとも
集中していたのか、デスクに片手を置いてパソコンの画面を覗き込む支配人を
見つめてしまった

『数分前から見てたがここまで気づかれ
 ないとはね。任せてすまない。』

「い、いえ‥大丈夫です。支配人と
 約束しましたから。」

『フッ‥‥頼もしい。‥‥明日休みを
 とってるから終わったら部屋に
 おいで。』

ドクン

囁かれた耳元が熱い‥‥

冷静を装っていても、冷え切っていた
だろう心がたった一言で溶けてゆく‥

花苑様の事は何も聞かないでおこう‥

何かあれば、きっと私を不安にさせないように話してくれるはずだから、今は
通じた想いに素直になりたい