支配人が直々に荷物を運ぶのを以前も
目にしているものの、やっぱり2人きりになってほしくないなどという気持ちが
心をかき乱す

仕事だ‥‥仕事に集中しよう‥‥。
いつも通り堂々としていると約束
したじゃないか‥‥

『津野田さん、ここを頼みます。』

『‥かしこまりました。』

フロントからロビーにまわり、荷物カートを支配人自ら押すと、花苑様が支配人の腕に手を添えた。

『暁人さん‥ふふ‥行きましょう。』

津野田さんと牧さんが頭を下げたので、
慌てて頭を下げると、2人が去る気配に
目を瞑りたくなってしまった

支配人と以前とは違う関係性になった
からといって、勤務中は何一つ変えられ
ない。

ホテリエは、常に冷静にさまざまな事を
判断して対応出来なければ一人前とは
言えない。

こんな事で揺れているようじゃ、私は
まだまだ勉強も修行も足りないと言われているようだった。

気にならないと言ったら嘘だけど、支配人の隣に立つ為にも自分をコントロール
出来る人になりたいと思った。