言うべきじゃなかったかもしれない‥

でも、こんな気持ちのまま、花苑様が
またここに来てしまったら、ずっと気持ちに蓋をして支配人を避けないといけないと思ったのだ

せっかく気持ちが通じたからこそ、
正直でいたかった‥‥

私から離れた支配人が今度は私の隣に腰掛けると、左手を握ってくれた。

『花苑家は俺とは何にも関係ない‥。
 ただ‥両親が手掛けてる事業と花苑
 は大きな繋がりがある。君をうちの
 どうでもいいことに巻き込みたくは
 ないんだよ。だからここへ彼女が
 来たとしても君は堂々としてれば
 いい。俺が選んだのは君だから。』

支配人‥‥

握られた手をそっと握り返すと、それに
気付いた支配人が少しだけ嬉しそうに
綺麗な顔を崩して笑ってくれた

身分や立場じゃない‥‥
もちろん、昔も今も私とは違う世界の
人たちだって事は分かってる

でも、こんなに暖かい眼差しを向けて
くれる人を信じないわけにはいかない。