なんとなく仕事の話ではないのではないかと思いつつも、花苑様の話を聞いた後だからか仕事の話であって欲しいとさえ
思えた。

なんとなく食欲もなく、いつもよりも
少ない昼食を終えると、憂鬱な気持ちを
消して執務室をノックした


『お疲れ様です。そちらに座って
 下さい。』

「はい‥失礼します‥。」

いつもと変わらない態度の支配人に対して、私だけが変によそよそしくなってしまう

なんとかいつも通りににはないとと思えば思うほど、人って間違った方向に行ってしまうなと思うほどに

『香那』

えっ?

業務を終えているとはいえ、まさか
名前で呼ばれるとは思わず驚いた

『不安にも思う事があるなら貯めずに
 言ってごらん。仕事のことではない
 のだろう?』

「ッ‥‥」

向かい側に座ると思ったのに、私の
方へ来たかと思えば、ソファの後ろに立ち後ろから優しく私を抱きしめた

『あんな顔をされたら放っておけない。
 それに今だって‥‥』

鎖骨に巻き付けられた腕に両手を置くと
支配人の唇がこめかみにそっと触れ、
抱き締める腕の力が少しだけ強くなる

「‥‥花苑様がまた来られると聞いて
 ‥ッ‥‥すみません‥勤務中にそんな
 事を考えてました。」

花苑様のお名前を伝えた途端、支配人が
少しだけ驚いたのか触れていた腕がそっと離れた