心の音-ココロノオト-


「好きに読んでいいからな」


と言う茜部先輩も、椅子に座り、脚を組んで本を読んでいる。

いちいち画になる茜部先輩に、目が惹き付けられてしまう。


ハードカバー版は絶版になってしまっていた、気になっていた小説を見つけ、手に取って茜部先輩の横に腰掛ける。


「随分ニッチなやつ選んだな」

「…分かるってことは、先輩も知ってるってことじゃないですか」

「まあ俺も好きだけど」


好き…。

いや、私に言ったわけじゃない。


気付けば昼食も食べることなく、2人で熱心に本を読んでいた。