心の音-ココロノオト-


茜部家に着く。


「でっっか」


どこか洋風な、豪邸といっても差し支えなさそうなお家。


「失礼します…」

「職員室じゃねんだから」

「…お邪魔します」


緊張して、言葉を間違える。

私の声に気付いたらしい、茜部先輩のお母さんが、パタパタとスリッパの音を鳴らしてやって来る。


「あらいらっしゃい!やー、可愛い彼女さん!」


そう言って、抱き締められる。

状況と、彼女さんという言葉に、頭がついていかない。


「やめてやれ、そして彼女ではない」


彼女ではない…まあそうなんだけど、改めて現実をぶつけられると心を抉られる。


「あ、ごめんなさいね。つい可愛らしい女の子だったものだから…」

「あはは…」


茜部先輩のお母さんは、とても美人でほわほわしている。


「じゃあ、ごゆっくりどうぞ!」

「あ、はい!」


茜部先輩についていき、書斎に通される。

図書室、図書館さながら、本が並んでいる。


「宝物庫…!」

「ただの本オタクだよ、うちの父親は」

「茜部先輩は、本買わないんですか?」

「俺はあまり買う方じゃないな」

「そうなんですね」


中をウロウロして、いちいち感動、感心してしまう。