茜部先輩の家の最寄り駅。
気合いを入れて服を決めた。
大丈夫、キメすぎたわけではない。
「胡桃」
その声にビクッとした。
振り向けば、茜部先輩。
この気持ちはバレちゃいけない。
普通にしていなきゃ。
「なんだよ」
「おはようございます」
「ああ…おはよう。行くか」
茜部先輩の私服は、モノトーンっぽい。
似合う!
かっこいい!
「すっ…」
「す?」
好きです!
そう言いかけた。
「いや何でもないです」
茜部先輩は不思議そうに首を傾げた。
後ろをついていっていると、茜部先輩は急に立ち止まった。
うっかりぶつかりそうになる。
「…横、歩けば」
「え?」
「いつも隣歩いて帰るくせに。なんか落ち着かねえ、胡桃が横にいないと」
呼吸が乱れかけた。
…な、茜部先輩、そんなこと言わないでよ。
勘違いして、調子乗っちゃうじゃん。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
私は茜部先輩の横について、見上げた。
「何でそんな見つめんだよ」
どうして、赤くなるの…?
茜部先輩は頬を染めた。
まさかね。
茜部先輩が私のこと、好きになるわけないじゃん。



