「1-1+1-1+1……って、ずっと計算したらどうなるか知ってる?」
教室で隣の席の博子(ひろこ)さんに声をかけられた。博子さんは地味な女の子でよく男子からからかわれているけれど、絶対に男の子に負けない強い子だったから、わたしは素敵だなと思っていた。
「1-1=0だから0かな? それとも1-1+1=1かな? それともずーっと計算するから無限とか?」
「ふっふっふ、違うわ。答えを知りたい?」
博子さんがニヤリと笑った。
その時だ、放課後の教壇の前に立った男子が大きな声をあげた。
「これから6年1組の可愛い女の子ランキングを発表しまーす! まずは、最下位から! どぅるるるる……」
女子は恥ずかしいよー、とか騒いでいる。そんな女子たちみんな可愛くてイマドキのおしゃれな服を着ていた。わたしとは大違いだ。
「ビリは日向(ひなた)さんでーすっ!」
わたしの名前が呼ばれて泣きそうになる。
情けないような、悔しいような……。
なんで、わたしばっかり男子からからかわれないといけないの……。
「あなた、やめなさいよ」
博子さんが男子にはっきりと言った。
「うるせーよ、お前を男子全員で最下位にしてもいいんだぞっ!」
だけれど博子さんも負けてはいない。
そんな博子さんがヒーローみたいに頼もしく見えた。
「ふっふっふ、あなたには0(れい)が取り憑いたわ。1-1+1-1+1……はなんだと思う?」
「はぁ? そんなの……知らねーよ」
博子さんの迫力に押されて男子がしどろもどろになる。
その時だ、男子の姿が消えてしまった。
「まずは1-1」
そして、また男子が現れる。
「1-1+1ね」
答えが0になると消える、1になると現れるらしい。
じゃあ、わたしをからかった男の子は消えちゃうのかな?
それとも助かるの?
消えたり現れたり、点滅する信号みたいになった男子をみて、クラスメイト全員が凍りついた。
博子さんが黒板に難しい数式を書き始める。
A=1-1+1-1+1……
+ A= 1-1+1-1……
ああ、-1と下の1が打ち消し合って、次は+1と-1が消しあって全部なくなるんだ。
残るのは最初の1だけ。

2A=1
ゆえに
A=1/2
「答えは1/2よ」
その日から女子をからかってばかりの意地悪男子の存在感が半分になった……。
いくら冗談を言ってもクラスメイトどころか先生にまで気づいてもらえないこともある。
からかわれたわたしですらその子の存在を忘れてしまいそうになるんだ。
そんなわたしを見て、博子さんが言った。
「日向さん、快適な学校生活になったでしょう。算数(数学)は宇宙の仕組みを解き明かすのよ。幽霊より怖いわ」
教室で隣の席の博子(ひろこ)さんに声をかけられた。博子さんは地味な女の子でよく男子からからかわれているけれど、絶対に男の子に負けない強い子だったから、わたしは素敵だなと思っていた。
「1-1=0だから0かな? それとも1-1+1=1かな? それともずーっと計算するから無限とか?」
「ふっふっふ、違うわ。答えを知りたい?」
博子さんがニヤリと笑った。
その時だ、放課後の教壇の前に立った男子が大きな声をあげた。
「これから6年1組の可愛い女の子ランキングを発表しまーす! まずは、最下位から! どぅるるるる……」
女子は恥ずかしいよー、とか騒いでいる。そんな女子たちみんな可愛くてイマドキのおしゃれな服を着ていた。わたしとは大違いだ。
「ビリは日向(ひなた)さんでーすっ!」
わたしの名前が呼ばれて泣きそうになる。
情けないような、悔しいような……。
なんで、わたしばっかり男子からからかわれないといけないの……。
「あなた、やめなさいよ」
博子さんが男子にはっきりと言った。
「うるせーよ、お前を男子全員で最下位にしてもいいんだぞっ!」
だけれど博子さんも負けてはいない。
そんな博子さんがヒーローみたいに頼もしく見えた。
「ふっふっふ、あなたには0(れい)が取り憑いたわ。1-1+1-1+1……はなんだと思う?」
「はぁ? そんなの……知らねーよ」
博子さんの迫力に押されて男子がしどろもどろになる。
その時だ、男子の姿が消えてしまった。
「まずは1-1」
そして、また男子が現れる。
「1-1+1ね」
答えが0になると消える、1になると現れるらしい。
じゃあ、わたしをからかった男の子は消えちゃうのかな?
それとも助かるの?
消えたり現れたり、点滅する信号みたいになった男子をみて、クラスメイト全員が凍りついた。
博子さんが黒板に難しい数式を書き始める。
A=1-1+1-1+1……
+ A= 1-1+1-1……
ああ、-1と下の1が打ち消し合って、次は+1と-1が消しあって全部なくなるんだ。
残るのは最初の1だけ。

2A=1
ゆえに
A=1/2
「答えは1/2よ」
その日から女子をからかってばかりの意地悪男子の存在感が半分になった……。
いくら冗談を言ってもクラスメイトどころか先生にまで気づいてもらえないこともある。
からかわれたわたしですらその子の存在を忘れてしまいそうになるんだ。
そんなわたしを見て、博子さんが言った。
「日向さん、快適な学校生活になったでしょう。算数(数学)は宇宙の仕組みを解き明かすのよ。幽霊より怖いわ」



