転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

 ケントに連れられて、私とルイとリオンは化学室にやってきた。


「俺、化学研究同好会なんだけど、先輩たちが今日はいないからさ。まあ、適当に座れよ」


 ルイとリオンと並んで座ると、ケントが正面に座って窓の方を見た。

 眼鏡に外の景色が映っていて、ケントが何を見ているかわからない。


「最後、魔王城に入ってすぐ、サキュバスと眷属の夢魔に囲まれて『ここは俺が食い止めるから、お前らは先に行け』って言ったじゃん」

「言ってたねえ」

「んで、夢魔はさっさと焼き払って、サキュバスと一騎打ちになってさ。こちとら勇者一行の黒魔術士様とはいえ、健全な青少年じゃん」

「……うん?」

「あのおっぱいのでっかい、ムチムチほかほかの年上お姉さんに迫られたら、ダメじゃん?」


 ケントはすごくいい笑顔をこっちに向けたけど、意味わかんない。

 ……いや、全然わかんなくもない。

 アイリも火渡くんとラブラブだし。

 それとはちょっと違う気もするけど。


「えっと、じゃあケントは魔王城でサキュバスの足止めしないで、きれいなお姉さんと楽しくよろしく、してたってこと?」

「そこまではいかなかったんだよ」

「そこまでは?」


 それまで黙っていたルイが首を傾げた。

 なんでそこで食いついたのさ。

 リオンも心なしか、前のめりで話を聞いている。


「夢魔蹴散らすのに時間かけちまってさあ。あともうちょっと……ってとこで、魔王城が崩れ初めて、サキュバス目掛けてに瓦礫が降ってきたから、慌てて手ぇ引っ張って城から逃げ出したわけよ」

「ケントは僕の部下を守ってくれたのか。彼女の身を守ってくれたことを魔族の代表として感謝する」

「よせよせ、そんなかっこいいもんじゃねえよ。下心しかなかったしさ。俺、攻撃魔法は使えても防御がからきしだから逃げるしかなかっただけだ。結局、城から飛び出してすぐに転生させられたから、おっぱい揉むことすらできなかった……」


 おかしいな、三十秒前までかっこよかったんだけどなあ。


「エミリ、男とはそういうものだ」

「仕方ないだろ、性なんだよ」

「そうだそうだ。ルイだってリオンだって、つまるところ、お前のおっぱいを揉みたくて頑張って口説いてるんだろうが」

「別にそのためだけではないが……」

「揉みたくないのか?」

「揉みたいよ、そりゃ」

「だろ〜?」

「セクハラで有罪判決ですね。懲役は死ぬまでで」

「あはは」


 笑うケントは前世と同じ、明るくてさっぱりした頼れるお兄さんだった。

 ……皐月いろはもまんざらでもなさそうだったけど、セクハラされたから教えてあげない。