草の擦れる音に思考が戻される。立ち尽くしていた芹香の前方に、子狐が佇んでこちらを見ていた。限りなく白に近い淡い黄色に、琥珀のような透き通った瞳のそれは、とても神秘的な気配をまとっていて、ただの狐ではないことが芹香にもわかった。
「あっ……」
あまりにも美しいその姿に魅入っていると、子狐が唐突に駆け出した。
行ってしまう。とても自分の足では追い付かない。
そうがっかりした矢先、狐は立ち止まり振り返った。
ついてこい、と言っているように見えて、芹香は一歩二歩と踏み出す。それを見て狐はまたすたすたと小走りに進んだ。
進んでは振り返り、芹香が追いつくのを待ってまた進むのを繰り返しているうちにいつの間にか森を抜けていた。青空が視界一杯に広がり、その開けた平地には大きな屋敷が鎮座していた。
子狐は屋敷を囲む塀をたどり、開け放たれていた門扉から中へと入っていく。
恐る恐るそこを覗いた芹香は、びくっと肩を弾ませて壁に隠れた。
──誰か、いる……!
着物を着た人が二人、そこに並んで立っていたのが一瞬だったけれど見えて驚いて隠れてしまった。屋敷なのだから、そこに人が住んでいるのは想像がつくはずなのに。子狐を追うことに気を取られていてそれどころではなかった。
「──お待ちしておりました!」
「ひっ」
「あっ……」
あまりにも美しいその姿に魅入っていると、子狐が唐突に駆け出した。
行ってしまう。とても自分の足では追い付かない。
そうがっかりした矢先、狐は立ち止まり振り返った。
ついてこい、と言っているように見えて、芹香は一歩二歩と踏み出す。それを見て狐はまたすたすたと小走りに進んだ。
進んでは振り返り、芹香が追いつくのを待ってまた進むのを繰り返しているうちにいつの間にか森を抜けていた。青空が視界一杯に広がり、その開けた平地には大きな屋敷が鎮座していた。
子狐は屋敷を囲む塀をたどり、開け放たれていた門扉から中へと入っていく。
恐る恐るそこを覗いた芹香は、びくっと肩を弾ませて壁に隠れた。
──誰か、いる……!
着物を着た人が二人、そこに並んで立っていたのが一瞬だったけれど見えて驚いて隠れてしまった。屋敷なのだから、そこに人が住んでいるのは想像がつくはずなのに。子狐を追うことに気を取られていてそれどころではなかった。
「──お待ちしておりました!」
「ひっ」

