芹香は無我夢中で走り、祠がある所までやってきた。
華狐は、鳥居をくぐれば自由にこちらとあちらを行き来できると紫苑に教えられていた。
その時には、用もなければいい思い出もない村に自分が行くことはないと思っていたから聞き流していたけれど、まさかこの鳥居をくぐる日が訪れるとは思わなかった。
両親は、不慮の事故で死んだ。
村の外で、妖怪の群れに出くわしてしまい、命を落とした。霊峰・九宝嶽から流れてくる霊気により守られている村の近くには、妖怪が現れることはまずなかった。だから、運が悪かったと不慮の事故とされていた。
だが、芹香はあれが事故だとはとても思えなかった。
──もし、それが故意だとしたら……?
例えそうだとしても、真相を知ったとしても、両親は帰ってこない。衝動的に駆けだしてきてしまった芹香だったが、鳥居を前にして無駄なことだ、と理性が働く。
それでもやはり、知りたいと強く願う自分に背中を押されて芹香は鳥居をくぐり村へ向かうために山を下る。
一年ぶりの鳥居の外の九宝嶽は、相変わらず岩肌しかない殺風景だった。本来の九宝嶽は霊狐たちが住まう緑豊かな霊峰で、その自然豊かな霊狐たちの聖域を守るために結界を張り、周りからは緑もなにもない岩肌の山に見せているのだと言っていた。
慣れない山道を駆け足で下りていくこと数刻。息も切れて汗だくの状態で芹香は村に入る。すると、芹香の姿を見た村人たちが、みな一様に目を見開き「芹香が帰ってきた……!」と驚いた。
どういうことだ、と話しかける者もいたが芹香はかまわず走り、叔父夫婦たちの住む自身の屋敷にたどり着くと門を叩いた。まるで待っていたかのように、間を置かずに門が開いて中から叔父の亮二が姿を現した。
華狐は、鳥居をくぐれば自由にこちらとあちらを行き来できると紫苑に教えられていた。
その時には、用もなければいい思い出もない村に自分が行くことはないと思っていたから聞き流していたけれど、まさかこの鳥居をくぐる日が訪れるとは思わなかった。
両親は、不慮の事故で死んだ。
村の外で、妖怪の群れに出くわしてしまい、命を落とした。霊峰・九宝嶽から流れてくる霊気により守られている村の近くには、妖怪が現れることはまずなかった。だから、運が悪かったと不慮の事故とされていた。
だが、芹香はあれが事故だとはとても思えなかった。
──もし、それが故意だとしたら……?
例えそうだとしても、真相を知ったとしても、両親は帰ってこない。衝動的に駆けだしてきてしまった芹香だったが、鳥居を前にして無駄なことだ、と理性が働く。
それでもやはり、知りたいと強く願う自分に背中を押されて芹香は鳥居をくぐり村へ向かうために山を下る。
一年ぶりの鳥居の外の九宝嶽は、相変わらず岩肌しかない殺風景だった。本来の九宝嶽は霊狐たちが住まう緑豊かな霊峰で、その自然豊かな霊狐たちの聖域を守るために結界を張り、周りからは緑もなにもない岩肌の山に見せているのだと言っていた。
慣れない山道を駆け足で下りていくこと数刻。息も切れて汗だくの状態で芹香は村に入る。すると、芹香の姿を見た村人たちが、みな一様に目を見開き「芹香が帰ってきた……!」と驚いた。
どういうことだ、と話しかける者もいたが芹香はかまわず走り、叔父夫婦たちの住む自身の屋敷にたどり着くと門を叩いた。まるで待っていたかのように、間を置かずに門が開いて中から叔父の亮二が姿を現した。

