あれから──一年が経って紫苑が霊狐だと知った日から、紫苑の芹香への態度がなんだか甘い。まぁ、狐姿の時には一緒の布団で寝ていたのを思えば、なにも変わらないのかもしれないが、それでも芹香はどう反応していいのか困ってしまう。
一週間後の婚儀を済ませれば、名実ともに芹香は紫苑と夫婦になり、寝所もまた同じになるのだろう。そして、おそらく、初夜を迎える。
考えただけで、頬が熱くなる。
婚儀が近づくにつれてどきどきは酷くなる一方だ。
そこに加えて紫苑の甘い態度ときて、芹香は困惑を隠せない。
こうして抱きしめてきたり、じっと見つめてきたり、頬に触れてきたり……特に二人きりの時はことさら甘い。
芹香が恥ずかしいと言っても「夫婦になるのだから」と引いてくれない。
芹香も、華狐として紫苑のそばにいることを了承した手前、それを引き合いに出されてしまえば強くは出れないので甘んじていた。
それに、やはり人のぬくもりというのは、心も温かくしてくれる。
両親亡き後、誰一人として芹香に優しい言葉をかけてくれた人は居らず、人のぬくもりとは無縁の環境にいた芹香にとって、葉奈や世津、そして紫苑との触れあいはこの上ない幸福をもたらしてくれた。
「面白くないって、なにが?」
「弥助は、どうも芹香に会いに来ている気がする」
「そんなことは……」
「芹香は、俺の華狐なのに」
一週間後の婚儀を済ませれば、名実ともに芹香は紫苑と夫婦になり、寝所もまた同じになるのだろう。そして、おそらく、初夜を迎える。
考えただけで、頬が熱くなる。
婚儀が近づくにつれてどきどきは酷くなる一方だ。
そこに加えて紫苑の甘い態度ときて、芹香は困惑を隠せない。
こうして抱きしめてきたり、じっと見つめてきたり、頬に触れてきたり……特に二人きりの時はことさら甘い。
芹香が恥ずかしいと言っても「夫婦になるのだから」と引いてくれない。
芹香も、華狐として紫苑のそばにいることを了承した手前、それを引き合いに出されてしまえば強くは出れないので甘んじていた。
それに、やはり人のぬくもりというのは、心も温かくしてくれる。
両親亡き後、誰一人として芹香に優しい言葉をかけてくれた人は居らず、人のぬくもりとは無縁の環境にいた芹香にとって、葉奈や世津、そして紫苑との触れあいはこの上ない幸福をもたらしてくれた。
「面白くないって、なにが?」
「弥助は、どうも芹香に会いに来ている気がする」
「そんなことは……」
「芹香は、俺の華狐なのに」

