*
目が覚めた芹香は、見慣れた板張りの天井に安堵の息を吐く。
それも束の間、さっきまでの出来事を思い出して勢いよく起き上がった。
「芹香!」
「ひゃあっ!」
人の姿をした紫苑がすぐそばにいて、芹香は悲鳴をあげてすぐさま布団に潜り込んだ。頭まですっぽりと覆ってうずくまる。恥ずかしさで顔が沸騰しそうだった。
紫苑は、出会ってから喋ることもせずずっと狐だった。世津と葉奈から、霊狐の一族にはこのように狐の姿のままのものもいるのだと教えられていた。だから芹香は特に疑うこともなく、そばを離れない懐っこい紫苑をそれはそれは可愛がってきた。
芹香が座っていると膝の上に乗り、どこかへ行けば後をついてきて。
当然のように眠る時も一緒だった。
だけど、それはあくまでも可愛い飼い猫──ならぬ飼い狐のような扱いであって……。
──信じられない……!
これまでのあれこれを、狐ではなく人の姿の霊狐で想像してしまい、芹香は叫びたくなった。
「──芹香さま! 今の悲鳴はなにごとですか⁉」
部屋の襖が無遠慮に開き、世津が駆けてきた。その後に、ゆっくりとした動作で葉奈が盆を手に入ってきた。
「世津、そんなに大声を立てては芹香さまのお耳に障りますよ。霊狐さまがご一緒なんですから、大丈夫に決まっているでしょう?」
布団越しに聞こえる二人のやり取りに、心がほんの少し冷静さを取り戻すも、芹香は布団からは出ようとしない。恥ずかしすぎて、どんな顔で相対すればいいのかまったくもってわからない。
「霊狐さま、これは一体どういう状況です?」
こんもりとした布団の山を見て、世津が紫苑に問いかけた。
目が覚めた芹香は、見慣れた板張りの天井に安堵の息を吐く。
それも束の間、さっきまでの出来事を思い出して勢いよく起き上がった。
「芹香!」
「ひゃあっ!」
人の姿をした紫苑がすぐそばにいて、芹香は悲鳴をあげてすぐさま布団に潜り込んだ。頭まですっぽりと覆ってうずくまる。恥ずかしさで顔が沸騰しそうだった。
紫苑は、出会ってから喋ることもせずずっと狐だった。世津と葉奈から、霊狐の一族にはこのように狐の姿のままのものもいるのだと教えられていた。だから芹香は特に疑うこともなく、そばを離れない懐っこい紫苑をそれはそれは可愛がってきた。
芹香が座っていると膝の上に乗り、どこかへ行けば後をついてきて。
当然のように眠る時も一緒だった。
だけど、それはあくまでも可愛い飼い猫──ならぬ飼い狐のような扱いであって……。
──信じられない……!
これまでのあれこれを、狐ではなく人の姿の霊狐で想像してしまい、芹香は叫びたくなった。
「──芹香さま! 今の悲鳴はなにごとですか⁉」
部屋の襖が無遠慮に開き、世津が駆けてきた。その後に、ゆっくりとした動作で葉奈が盆を手に入ってきた。
「世津、そんなに大声を立てては芹香さまのお耳に障りますよ。霊狐さまがご一緒なんですから、大丈夫に決まっているでしょう?」
布団越しに聞こえる二人のやり取りに、心がほんの少し冷静さを取り戻すも、芹香は布団からは出ようとしない。恥ずかしすぎて、どんな顔で相対すればいいのかまったくもってわからない。
「霊狐さま、これは一体どういう状況です?」
こんもりとした布団の山を見て、世津が紫苑に問いかけた。

