スタンドから沸き起こる歓声。

暑い日差しの中、ボールは守備の間を上手に抜けて、和樹をスリーベースまで導いた。

スライディング。

舞う砂ぼこり。

和樹が初めてあたしにくれたプレゼントは、満面の笑みとガッツポーズだった。

気づいてたんだね。

あたしがここにいるって。

2008年、秋。

どうしようもない想いの始まりだった。