夏と先生と初恋。

涼は何一つ悪くないのに。


悪いのは、上手くできないわたし。


わたしが涼に八つ当たりしているだけだ。



「…うん」



涼はまだ何か言いたそうだったけど、結局なにも言わずに教室を出て行った。




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「あと3分ー」


「あーもうやめたい!」



吹奏楽部は、体力づくりのために毎週月曜日の部活の時間にグラウンドでランニングをする。


ペースは人それぞれで10分間走り続ける。


真夏は本当にきつい。


まだ6月で気温はそこまで高くない。


でも6月だからこそ、湿気の多いジメジメした空気が気持ち悪い。



「終了!」



号令とともに走るのをやめて歩き始める。


…あれ?


視界が、暗い———



「ひまりっ!」



ぐにゃりと歪んだ視界とともに、地面が近づいてくる。


倒れる———


そう覚悟して目を閉じた。



「…っ、間に合った」



涼の声?