夏と先生と初恋。

自己満足のソロなんかが、オーディションで通用するわけがない。



「…うん」



わたし自身のことを思うなら、涼の言っていることは間違っていない。


むしろ的を射ている。


けど、今じゃない。



「ちょ、おい、ひまり、どこいくんだよ」


「練習、してくる」



今はとにかく、やらないと。


わたしが吹く意味を、わたしだけのソロを、つくらないと。



「…もうちょっと休めよ」


「もう休んだよ」


「…無理しすぎなんだよ」



多少の無理はしている自覚がある。


だけど、このくらいはまだいける。



「大丈夫だから」



涼がなにかを言おうと口を開いた。



「——。」



でも、言葉として溢れる前に唇が再び結びなおなされた。



「……じゃまして悪かった。わざわざ移動しないでここでやれよ」



少し迷ったように視線をさまよわせたあと、涼はこう言った。