夏と先生と初恋。

顔中が熱くて、今にも火が出そうだ。



「あの、その…」


「うん?どうした?」


「ちょっとだけ…」



離れてください、と言葉にしようと思ったのに。


嫌だ、と、離れなくない、と思ってしまう自分もいる。



「こうしても、マシになるだけで痛くなくなるわけじゃないんだけどね」



背中に感じていた体温がすっ、と離れてゆく。


真っ赤でガチガチなわたしとくらべて、いつも通り何も変わらない藤木先生。


藤木先生にとってのわたしはただの生徒。


なんとも思わないに決まってる。



「…ありがとう、ございます」



いまだにほてったままの顔を見られたくなくて、下を向いて隠す。



「今日はこれで終わろうか」



そう言った藤木先生にお礼を言って扉に向かう。



「…困ったことがあったらいつでもおいで。竹中のこと、手伝うから」



音楽室から出る直前、藤木先生にかけられた言葉。