夏と先生と初恋。

次々と先輩たちがレッスンから帰ってきて、次はわたしの順番だ。


深呼吸をしてから、第二音楽室のドアを開ける。



「失礼します」



藤木先生は部屋の端の椅子に座っていた。


手元にはクラリネット。


藤木先生のクラリネットの音を聞いてみたい。


吹いてくれたりしないかな。



「基礎の確認したいから、普段やってる基礎練習聞かせてくれる?」



…てっきり曲のレッスンだと思っていた。


先生に促されるまま、普段やっている基礎練習を始める。


最近練習し始めたばかりの練習もあって、ボロボロだ。



「…竹中は、タンギング苦手?」



…ばれた


クラリネットの先生だし、当然か。



「…はい」



もっとしっかりタンギング練習しなくてはいけないのはわかっているけれど。


常に何かしらの曲に追われて、十分に練習できていない。



「ソロを吹くにも曲を吹くにも、タンギングは絶対に必要だからもっと時間をかけてやったほうがいいね」