夏と先生と初恋。

藤木先生は怖いどころか、穏やかで優しい。


でも、アドバイスは的確で、わたひたちの音は最初よりずっと良くなっている。



「じゃあ、クラリネットのソロの続きから」



それからしばらくして、合奏が一区切りついたところで、藤木先生がこう言った。



「今日は少し早いけど、これで合奏終わりにしようか」



確かに、普段合奏をやっている時間より1時間くらい早い時間だ。



「残りの時間は、個人練習でもパート練習でも好きに使って。

———あ、そうだ、

クラリネットは個人レッスンをするから、1人ずつ順番に第二音楽室に来てくれる?」



号令がかかって部員たちがそれぞれ部屋から出ていく。


…個人レッスン?!


1人ずつ見られるってこと?!


藤木先生に?


三年生から順番にレッスンするみたいで、1人目の先輩はもう第二音楽室に行ったみたいだ。


どんな感じなんだろう。


怖いような、楽しみなような不思議な気分だ。