夏と先生と初恋。

電車の中はムッとして蒸し暑かったのに、外は程よい気温で、風が心地いい。


沙耶と涼が上手くいくといいな。



「次の電車は…」



10分後、か。


10分くらいなら楽譜を見ていたらすぐに終わる。


昨日合奏で注意されたところを復習しておこう。


楽譜は…


…ない?


カバンを漁っても漁っても楽譜は見つからない。


もちろん今日も部活があるし、部活に楽譜は絶対必要。



「…帰ろう」



まさか本当に忘れ物していたなんて。


いつもより早く家を出ていてよかった。


涼と沙耶は、今頃仲良く話してるかな。




***




「じゃあ合奏、始めようか」


「はい!」


「頭から通して」



藤木先生がタクトをあげた。


藤木先生に導かれるように様々な楽器の音が並んでいく。


絡みあい、もつれあい、一つの曲を作っている。


わたしはこの瞬間が最高に好きだ。