夏と先生と初恋。

…なんでわたしと目が合うんですか


わたしじゃなくて沙耶を見れば良いのに。


こーんなに可愛いんだから。



「そんなにこっち見て、俺のこと、気になる?」



涼の大きな目が、イタズラっぽく細められる。



「気にならない!」



…このままじゃわたしと涼がぎゃあぎゃあ騒いで、沙耶が置いていかれちゃう…



「あーそうだ、わたし、忘れ物してるんだったー」


「え?」


「だから、降りるね!」



棒読みすぎる自覚はある。


棒読みでもなんでも、涼と沙耶を2人きりにできればそれでいいや。



「お前嘘だ…」


「本当だから!だから沙耶と涼は先行ってて!」



涼が何か言おうとするのも無理矢理遮って押し通す。



「じゃ、いくね!」



ちょうどよく開いたドアから電車の外に飛び出す。


後ろから2人の驚く声が聞こえたけど、聞こえないフリ。