夏と先生と初恋。




コンクールメンバーが決まってから、部活の雰囲気が変わった。


良いか悪いかでいったら、多分、悪い方に。


どこがギクシャクしていて、音も噛み合わない。


全員が少しずつ違う方向を向いているような。


そんな気がする。



「じゃあ自由曲、中間部から」



人数の減った音楽室。


きっちり55人。


コンクールの舞台に立つことができるメンバー。


必要だった線引き。


その線は、わたしたちが思っていたより、大きい。



「集中しきれてない感じがするね」



今までできていたことすら、できなくなっている。


やる気がなくなったわけじゃない。


きっと、みんな、から回ってる。


必死だからこそ、どうしていいのかわからなくなっている。



「…今日の合奏はなしにしようか」



困ったように眉を下げて息をついた藤木先生。



「今日は自分の音と向き合ってみて」