夏と先生と初恋。


「え?どういうこと?」


「そーゆーこと」



やっぱり涼はわけがわからない。


真面目に空気読んだわたしが馬鹿みたい。



「じゃーな」



ひらひらと手を振って去って行く涼。


オンとオフの切り替えが激しすぎる。


わたしも手を振りかえして、音楽室に戻った。





✳︎ ✳︎ ✳︎





「ひまちゃん!張り出されてる!」



音楽室の前の大きな黒板。


そこに貼られた大きな模造紙。


…コンクールのメンバー表だ。


わたしの名前は、————


ちゃんとあった。


わたしだけじゃなく、沙耶の名前も、涼の名前もちゃんとあった。


ほっとすると同時に、ソロオーディションの結果への緊張が湧いてくる。


ソロオーディションの結果は張り出されていないみたい。


ざわついている音楽室。


中には泣き崩れている子だっている。


泣き崩れているのは ————


葵ちゃん


慌ててメンバー表に視線を戻す。


ない。


葵ちゃんの名前が、ない。


呆然としていると、音楽室に藤木先生が入ってきた。