涼に謝られる理由はない。
「…それは確かにお前が悪い、けど俺の言い方も悪かった」
涼らしいな。
真っ直ぐで、飾らなくて、素直。
「…あと、今日のソロ、すごかった」
「どれがわたしか、わかったの?」
全員背を向けていたのに。
「たりまえだろ。何年一緒にいると思ってんだよ」
「確かに」
わたしも、涼の音ならわかると思う。
腐るほど一緒に吹いてきたから。
「俺、ひまりの音、好きだわ」
少しだけそっぽを向いた涼の顔。
耳の先が赤い。
「…それに俺、ひまりのことが—————
いや、なんでもない」
やけに真剣そうな顔をしている。
普段なら、ちょっとくらいからかうことができるのに。
今の涼の表情は、ふざけたことは言ってはいけないような気がする。
「んじゃ、そゆことだから」
え?
真面目な表情から一変、いつものヘラリとした態度に戻った。


