夏と先生と初恋。



「十五分後に始めようか」



誰かがごくりと唾を飲み込む音がした。


いよいよだ。


でもきっと大丈夫。


どんな結果になっても、きっと後悔はしない。





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「じゃあ、1番から」



一列に並ぶ6本のクラリネット。


順番はランダム。


他の部員は後ろを向いていて、誰が吹いているのかはわからない。


1番は、——-わたし。



『自分の音を信じてごらん?竹中の音は、竹中が思っているより、薄っぺらくも弱くもないんじゃないかな』



不安がないわけじゃない。


練習時間だって圧倒的に足りてない。


だけど。


わたしはわたしの音を信じる。


わたしの音の持つ力を信じてくれた藤木先生を信じる。


カチリ、と何かのスイッチが入るような音が聞こえた気がした。


そこからの記憶は正直曖昧だ。


気がついたら演奏が終わっていて、次の人の番になっていた。