開け放された教室の窓から、
わたしの机にはらりと舞い降りたひとひらの桜の花びら。
遠くから、トランペットの音が聞こえてくる。
わたし、竹中ひまりは
高校2年生になりました。
始業式を終えた放課後、
まだ馴染みのない教室で
どことなく様子を伺い合っているクラスメイト達。
きっと1週間もすれば
この景色は見なくなるだろうな、と。
きっとすぐに打ち解けて、
明るく賑やかなクラスになる。
簡単にそんな想像ができるメンバーがそろっている。
そんなことを思いながら荷物をカバンに詰めた。
「ひまー、部活行くよ!
新しい先生、もう来てるって!!」
今日の扉を開けてやってきたのは、浅野沙耶。
わたしと同じ吹奏楽部に所属する女の子。
「はーい、今行くー」
急いで荷物を纏めて教室を飛び出す。
