その女に中身がないだの女の通過点でしかないだの罵倒されたあげく、あなたの生活環境は羨ましいから一緒に住みたいと言われている。

「もちろんですよ、レナード様。私にはいつだって甘えてよいのです。あなたは私の婚約者ですから。今日は良い夢が見られるように、幸せな気持ちになれる話をしますね。」

私は、今までの自分の恐ろしい言動を挽回するために、できるだけ優しい言葉で接した。
冷静になれば、女など選び放題の彼が、政敵の親を持った感情の起伏が激しい私と結婚してくれると言っているのだ。

公爵になる道が閉ざされた以上、彼との結婚以上に幸せな道は思いつかない。
彼に女性問題はつきまとうかもしれないが、明らかに私の父よりはましだ。
一週間彼を見てきて、彼が仄暗い趣味や性癖を持っていないことは確認できている。

「ミリア、どれだけ長くなってもよいので、たくさん話してくださいね」
レナード様は微笑むと、目をつぶって私の横に横たわった。