面倒臭がりの姉なら、いくらでもお金を積んで買ってくれるだろう。

「その事業、いつかではなく今からやったらどうですか? 私が投資しますよ。」
レナード様が言ってくれた言葉に私は驚きのあまり感嘆の声をあげた。

「良いのですか? 確実に儲けがでるかもわかりませんし、事業などする暇があれば妻としての仕事を学ぶべき時ですよね」
私は嬉しくなった、実はもう結構話を進めていたのだ。
事業をはじめる資金は私の持っているものでも足りたが、彼が投資してくれるなら甘えてしまいたい。

「妻としての仕事はただ1つ、私と一緒にいてくれることです。愛して欲しいなどと言って良い時を逸してしまった気がします。ただ、一緒にいてくれませんか、ミリア」

彼が私の手を握りながら見つめてくる。
なんだか、触れたらダメだの言えなそうな雰囲気だ。

私も、この侯爵邸の暮らしを気に入っているし、エミリアーナ様のいる知的で優しい家族の一員になれるなんて実は夢のようだ。

「もちろんです。妻としての仕事はします。事業計画書を実はつくってあるのですが後で見てもらっても良いですか?」
軽い感じで彼に明かしたけれど、実は侯爵邸での暮らしが始まってから綿密に計画してたことだった。

「用意周到ですね、ミリアは。そろそろ、食事の時間なので一緒に行きましょうか」
彼は愛おしそうに私を見ながら言って、手を差し出してきたのでエスコートされながら食堂に向かった。