虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。



アカデミー時代、彼は歴代の首席の中でも取り分け優秀だと評判だった。
きっと彼と話す機会があれば、私の知らない知識をたくさん持っていて楽しませてくれるだろうと夢見ながら見つめていたものだ。

「東洋の文化は、私たちと異なり非常に興味深いですよ。お茶1つ取っても、その注ぎ方から使う茶器まで異なります。なかでも、忍びに関しての文献は面白く、手に入るものは全て読んでいます」

私が彼に語ると、彼は笑いを堪えられなくなったように吹き出した。
「ミリア、東洋の書物を読むのがあなたの趣味なんですね。無趣味じゃないじゃないですか。」

「何を言っているのですか。役に立つから読んでいるだけで、趣味ではございません。私は役に立つ文献はどんな分野だろうと読みます」

忍びについて研究することが私の趣味だなんて思われるとは心外だった。
私は忍びがスパイよりも上級のスキルを持った一流の暗殺集団だと思い研究していただけだ。

「そういえば、母上の経済書も読んでいるんですよね。経済書を出している貴族なんてたくさんいると思いますが、母上の経済書がミリアのお気に入りなんですか?」

彼を突き放そうとしていたはずなのに、なぜだかまた柔らかい雰囲気になっている。
今は彼を無視した方が良いのだろうけれど、大好きなエミリアーナ様の話はしたいのでしておこうかと思った。