虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。



「ミリア、あなたを愛しています。私はあなたを抹殺しようとなんて思ったことはありませんよ」

彼は私の顔を覗き込むように言ってくる。
私が膝の上に乗っけている手に、手を重ねようとしてきたのでひっぱたいてやった。

「昨晩の私の部屋のベッドに潜んでいた件もそうです。忍びは天井裏に隠れたり、床下に隠れたりしますが、帝国の忍びはベットに隠れるということですか。一連のあなたの行動にようやく合点がいきました。あなたは私を自分に夢中にさせて利用しようと思っています。そして、必要がなくなったら、いつでも始末できるとのメッセージをずっと私に刷り込もうとしていたわけですね」

ようやっと、彼が危険なはずの私を執拗に取り込もうとしたかが理解できた。
私などは彼にとっては驚異ではないと思われているということだ。

彼の男としての魅力に当てられて判断能力が鈍っていたが、ようやっと私らしく冴え渡ってきたようだ。

「スパイと忍びの違いについてお聞きしてもよいですか? ミリア」
彼が良い質問をしてきた。

もしかしたら、東洋に興味がなく忍びについての知識が甘いのかもしれない。
父は帝国はもっと他国を侵略し、領土を広げていこうという野心を持っている。
だから、他国についても私は熱心に学んできた。

「良い、質問ですね。まずは格好が違います。スパイは雑踏で目立たない格好をしていれば十分ですが、忍びは完全に風景に溶け込むような格好をしています。簡単に言うと、全身タイツのような格好です」

彼が忍びでないなら安心だが、彼が忍びレベルのスキルを持っていることだけは忘れない方が良いだろう。

「まってください、私は全身タイツのような格好はしたことがありません。忍びではありませんし、ミリアの敵ではなく味方です。そもそも、ミリアは東洋の忍びについて何故そんなに詳しいのですか?」

彼がなぜだか、笑いを堪えているような仕草をしている。

私は面白いことを1つも言っていない上に、彼が思っよりも博識ではないことにがっかりしている。