「彼は公爵になる器ではない」
父のきっぱりとした言葉にホッとした。
その通り、カルマン公爵になるためには秘密裏にやらなければならない仕事もある。
バカが継いだら、あっという間にその権力は失墜しかねない。
「あらあら、本音が出てるわよ、お父様。公爵になれない男を皇帝に推していたの?御し易いから彼を皇帝に推して皇権への影響力を持ちたかっただけでしょう」
姉はやはり恐ろしい女だ。
ラキアス皇子という皇室の人間がいる前で、父の皇権への野心を明らかにする。
ここでしっかりとスコット皇子を皇帝に推すという父の計画を潰しておこうとしているのだ。



