「ミリア、2択の選択肢を勝手に増やさないでください。それにしても、ミリアは第4皇子と踊ったことがあるのですね。私とは一度も踊ったことがないのに、正直嫉妬でおかしくなりそうです」
私は自分でも気づかぬ間に2人の皇子から選ぶ問題を5人の皇子から選ぶ問題にすり替えていた。
そう考えると一方的に羨んでいた姉の境遇を私は本当に理解していたのだろうか。
後継者になりたいとアカデミーに行く、恋人と逃げて自分の力を試したいと家出を試みる、帝国一のモテ男が近づいてくるという経験を姉がすることはない。
まだ私を口説くようなことを言ってくるレナード様は何を考えているのだろう。
自分が一度も私をダンスに誘って来なかったくせに、ふざけた男だ。
こんな男は、やはり私には必要ない。



