虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。



正直、あの様子からでは姉にベタ惚れのドMなのか、自分が姉に選ばれたことで皇太子になれることに酔っているかのどちらかは不明だった。

彼はこないだ姉が選んだことにより、皇太子となった。
父が最近の皇帝に不満があるから、彼が皇帝になるのは時間の問題だ。

第5皇子は問題外だ。
嫌味ばかりいっていて、実力がない。
紫色の瞳に生まれたことを鼻にかけている。

言い換えれば、彼の価値は紫色の瞳にしかない。
彼が次期カルマン公爵になるなんて信じられない。
父も姉の言うことには逆らえないということなのだろうか。

「第4皇子でしょうか。前に一度踊った時にとても優雅で、会話にも彼の聡明さが滲みでていて興味深かったです。彼を失うのは帝国にとって大きな損失だと思います」

紫色の瞳は皇族の血が濃く誰よりも尊いという根拠のない神話の他に、もう1つの狂った帝国のルールがある。

皇太子にならなかった皇子は帝国民にノブレス・オブリゲスを示すために出兵することだ。
普段、帝国に疑問を持つ平民たちも自分の命を自分たちのために命を捧げる皇子たちをみて溜飲を下げる。

周辺国、特にエスパルは常に帝国を侵略することを狙っている。
皇子たちは出兵し、だいたい戦死や行方不明になる。

それにより皇太子の地位は脅かされることなく確固たるものとなっていく。
カルマン公爵家の女に生まれるのと、レオハード帝国の皇子に生まれるのはどちらが悲惨だろうか。