虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。


彼は苦労知らずのお坊っちゃまだ。

誰より美しく生まれ、才能に恵まれ、それを手放して認めてくれる家族に囲まれて育っている。
早く顔を青くして、そんな女は妻にとは考えられないと私を突き放して欲しい。

「世界に35億の男がいるなかで、2人からしか夫を選べないステラ・カルマン公女は本当に宝物のように育てられたのでしょうか?」

思ってもみない彼の言葉に一瞬時が止まった。
私の脳裏には家で絶対権力を握っていて、決して叱責されることのないワガママな姉の姿が浮かぶ。

私が必死に勉強している間、毎日のように取り巻きとおしゃべりしている姉。
礼法の授業をサボろうと、家庭教師を理不尽にクビにしようと姉が咎められることは1度もなかった。

「紫色の瞳をもって生まれたカルマン公爵家の女です。皇族の紫色の瞳を持った男と結婚すれば、確実に貴重な紫色の瞳の子が生まれます。紫色の瞳の子なら将来皇帝になる確率が高く、公爵家はさらに皇権に影響を持つことができます。お姉様に求められていることは、それだけです⋯⋯」

私はそれ以上の言葉を続けられなかった。
姉を常に羨んできた、なぜ何もかも姉の思い通りになるのかと考えていた。
何をしようと咎められず、姉はとても自由に見えた。

「紫色の瞳を持った第3皇子と第5皇子、ミリアならどちらを選びますか?」
私は突然の彼の質問に2人を思い浮かべた。

銀髪に紫色の瞳をした絶世の美男ラキアス・レオハードを姉は選んだ。

美しいけれど父曰く野心がなく、他の皇子よりも優秀とは言えない。
姉が彼を連れてきた時も、キレ散らかしていて普通なら引くような姿をしている姉を恍惚と見つめていた。