虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。



「あの、くだらないことをしてないで、馬車に乗り込みましょう。時間は有限です」
私は彼と2人きりになる必要があると判断した。
ここはカルマン公爵邸だから、聞かれて困ることは話せない。

私と結婚することによる、大きなデメリットを話しておいた方が良いと判断したのだ。
彼と結婚しないとしても、私は彼が失墜したり、苦しんだりするのを見たくはなかった。

「では、お手をどうぞ。私のたった1人のお姫様」
擽ったくなるようなセリフが様になってしまうから不思議だ。
彼にエスコートされながら、私は馬車に乗り込んだ。
彼の領地に行く目的ではなく、大事な話を誰にも聞かれない場所でするためだ。

「レナード様、お話ししたいことがあります」
私は意を決して彼に打ち明けることをした。
このまま私と婚約して結婚まで駒を進めることは、彼のためにはならないことが分かっていたからだ。

「私は、あなたにハニートラップをかけています。あなたを惑わし、失墜させるスパイです。カルマン公爵家はそういった表に出せないことをして成り上がってきました」
私が言った言葉に彼は目を丸くしている。