「申し訳ございません、ミリア。野生動物は私の方だったようです。あなたを前にすると理性がいつも吹っ飛んでしまいます」
理性が吹っ飛ぶと言いながら、しっかり私の耳元で良い声で囁いてくるのは計算ではないだろうか。
私の鼓膜がこの声堪らないと震えているのが分かる。
「レナード様、あなたがサイラスに圧力をかけて、私と別れさせようとしたのですか?」
私はサイラスに圧力を掛けたのが父か姉だという確信があった。
でも、私はレナードがサイラスに圧力をかけるくらい私に本気だと良いなと思ったので聞いてしまった。
「そうですよ。ミリアが欲しかったので、私が彼を脅して別れてもらいました」
彼が私の肩に手を置いて少し距離をとりながら、見つめて言ってきた。



