優秀さを武器に中央で成り上がってやろうという野心に溢れた瞳だ。
今、目の前にいるのは私の好きなサイラスじゃない。
アカデミー時代も問題にぶつかると彼は時々こう言った目をした、その度に私は自分の好きな彼に戻して来た。
「私もその他大勢の女みたいに、アーデン侯爵に夢中になるとでも思っているの? あんな欠点のない男に興味はないわ。私は時々自信をなくして弱みを見せてくれるあなたが好きなの。だからこそ、私も自分の弱さを見せられてきたのよ。どれだけ私たちが一緒に過ごしてきて、支え合って来たと思っているの? 私は私を必要としているあなたと一緒にいたいの。私が必要でしょ、サイラス!」
私は最初彼が私に手を出した時のように、握手をしようと手を出した。
「アーデン侯爵に本当に惹かれなかった? ミリア覚えている? 君が唯一アカデミーで名前を覚えていた金髪碧眼の王子様、レナード・アーデンだよ」
彼は私の手を取ろうとしない。
しかも4年も昔のことを持ち出してきて、私がレナード様に惹かれたのではないかと疑っている。
「少しでも惹かれたら浮気なの?それで私とは一緒にいられないと言ってるの?私のことは、もう必要ないって言ってる? 父に将来、要職につけてやるとか言われたりした? 私を売ったの?」
私は自分で言っていて泣きそうになってきた。
帝国貴族は涙を見せていけないというルールはなんなんだろう。
私はとても泣き虫で、サイラスの前だとすぐに泣いてしまう。



