「ミリア、あなたが、あまりに可愛くて純粋すぎて、流石の私も罪悪感に耐えかねてこちらにお連れしました。昨日まで優雅に話していた彼らが、突然早口で捲し立てるように話してて驚きませんでしたか? アーデン侯爵家の人間はみんな本当はあんな感じの話し方をします。外では模範的な貴族に見えるように、みんな優雅な演技をしています。前にミリアが私を生粋の貴族と言っていましたが、私の魂も彼らと同じように生粋の商人です。ミリアがいつも通り落ち着いているので予想していた反応と違って私の方が驚きました」
先程まで、彼と過ごしていたベットの上に座らせられ髪を撫でられた。
「いえ、昨日までの貴族的な優雅な雰囲気より、今日のざっくばらんな感じが温かくて私は好きです。ところで、レナード、不勉強で申し訳ないのですが、カネとはなんのことでしょう?」
私が尋ねた言葉に彼が笑いそうになっていた。
「何のことか当ててみてください。今から帝国の建国当時のアーデン侯爵が残した手記についてお話しします。それを聞けば、カネの意味がわかると思いますよ」
レナードが先生みたいな言い方をしてくるので耳を傾ける。



