カルマン公爵邸では姉が口を開くまでは、誰も口を開いてはいけなかった。
「ふふ、私もあなたが金に見えたわ。男だって金としてみられていることを常にお忘れなく」
なんだか、エミリアーナ様が素敵な学ぶべきことを言っている気がする。
「あの、よろしければ、お2人の馴れ初めをお聞かせ頂いてもよろしいでしょうか?」
聞いてみたい、この素敵なお2人がどう運命的に出会って素晴らしい家庭を作っていったのかを。
「私達はね、実はアカデミーの同期なの。ちなみに私が首席で、彼が次席卒業生よ。私はずっと次期アーデン侯爵になる彼が気になっていた。帝国一の大富豪よ。ネームバリューが違う。経済書を出そうと思った時にアカデミー首席卒業生の出す経済書なんて、誰が買うかと気がついたの。でも、彼と結婚してしまえば、私は大富豪アーデン侯爵と結婚した女として注目されると気づいた。彼と婚約しただけで、ただのアカデミー首席卒業生だった私は、帝国はじまって以来の才女と呼ばれるようになった。みんなアーデン侯爵家の男がなかなか婚約もしないことを知っているから、余程の女性だということで注目するようになったのね。経済書は彼に宣伝費をたくさんかけて貰ったこともあるけれど、大富豪を射止めたい令嬢たちまで購入してあっという間にベストセラーになったわ」



