「皇帝陛下、手紙を書いてください。皇后陛下は読まないかもしれません。彼女は今とても傷ついているから。2人の間にあった出来事を物語のように書いて頂けないでしょうか?ふと見たときに物語だと思えば物語を読むのが好きな皇后陛下は読むかもしれません。きっと、読んでいるうちにその物語が陛下とご自分のことを書いたものだと気づくのです。心を通わせた時があったことを思い出して、心の傷を癒せるかもしれません。お返事は来ないかもしれません。でも、お願いします。書き続けては頂けませんでしょうか⋯⋯」
なぜだか、息ができない。
気絶しそうなのを必死で耐える。
風景が歪んでいて、皇帝陛下が私を抱き上げようとしているような気がする。
意識が遠のくのを感じた時、夢の中でいつも聞いてた王子様の声がした。
「ラキアス皇帝陛下にレナード・アーデンがお目にかかります。私の妻が、」
ずっと聞いていたい彼の声が聞こえるのに、聞こえなくなっていく。
何が起こっているのかわからないけれど、きっと私の王子様が助けに来てくれた。
私は狂っているかもしれないけれど、彼のお姫様になれたのだ。



