もしかしたら、ガラス玉でもその欠陥を愛おしく思ってくれているのかもしれない。
「レナード様だけを見ると誓います。私は実は怖がりなとこがあって、レナード様に尋ねたいことがあるのですがお聞きしても良いですか?」
彼の恋するような瞳を見て、私はただひたすらに彼の想いに期待した。
家紋の秘密を明かしてもらえば、私と結婚するつもりだと安心できると思って私は彼に尋ねた。
「アーデン侯爵家にも、秘密の隠し通路がありますよね。本当に私を妻にとお考えなら、教えてもらっても良いですか?」
これを聞ければ、私は彼への気持ちを正直に打ち明けようと思った。
本当はずっと憧れていて、彼だけを見ていたということを。
他の男性と交際しながら、そんなことを言う私の矛盾に不快感を持たれるかもしれないけれど伝えたかった。
「私の執務室の本棚の裏にありますよ。皇宮の隠し通路とは違って地下ではないので、ミリアも怖くはないですよ」
私はその言葉を聞いて息の仕方がわからなくなった。
アーデン侯爵家は今まで皇室とは臣下の立場をとり一定の距離をとって皇后を輩出したことがない。
それにもかかわらず、彼は皇后宮の寝室のベットの下にある隠し通路を知っている。
彼がそれを知っていると言うことは、父が隠し通路を利用して当時の皇帝を暗殺したことにも当然気がついている。
突然気が遠くなって、私はその場で意識を失った。



