「実は元第4皇子である、ポールとのやりとりが終わりました。ポールが今一緒に暮らしている彼女が私からの仕送りを見て貴族のマダムに援助されていると怒ったそうです。彼の生活も安定したそうなので、手紙のやりとりをやめることにしました。レナード様の婚約者にも関わらず、危ないことをして心配をかけて申し訳ございませんでした」

私の勝手でしていたポールとのやりとりは、レナード様にとっても露見すれば大騒ぎになる懸念事項だったはずだ。

「ミリア、嬉しそうですね。そんなに私から逃げたいですか?」
私はレナード様の発した言葉に震えだした。

確かに私が仕送りだけでなく、ポールとの手紙のやりとりをした目的には実際に逃げた時に平民の生活が自分にできるか確認したかったからでもある。

皇子であった彼に平民の生活ができるものなら、私にもできる気がしたからだ。
そして、彼の彼女が私の名前をみても、どこかの貴族のマダムだと思ったことに安心をした。

帝国では有名なカルマン公爵家も帝国外ではそうではないということがわかったからだ。

「そんな、逃げようなんて思ってません。私はレナード様と結婚したいです」
私はレナード様と結ばれたい、でも帝国ではいつも怯えて暮らさなければならない。