「たくさんのお客様が来て下さったのは、お呼びしたご令嬢方が社交に取り組んでいたおかげです。私は、何もしていません」
私が言うとレナード様は私のおでこに口づけをしてきた。
私は彼のプライベートを売って人を集めた。
でも、王子様の口づけの素敵さだけは私だけのものにしたくて誰にも言っていない。
しかし、最近、私がレナード様から口づけされているときにメイドたちの視線を感じていた。
私は彼との口づけを私だけのものにしたいが、当然ながら王子様の口づけを見たい人たちがいるのだ。
姉が私は登場人物5人の世界で生きているといっていた。
メイドたちの登場人物には絶対に雇い主の美しい王子様レナード様がいる。
もしかしたら、王子様のサービスを独占しているちんちくりんの婚約者の私もいるかもしれない。
だから、当然王子様の口づけを見たくて皆私たちが口づけをしそうになると視線を向けてくるのだ。
私もメイドの立場なら、手を止めることなく仕事をするふりをしてレナード様の口づけを見ると思う。
彼女たちには申し訳ないが、私は王子様の口づけだけは一人じめしたい。
「レナード様、口づけをする時は2人きりでしたいのですが、ダメですか?」
私は彼の耳元で彼にしか聞こえないような声で囁いた。
「ミリア、では2人きりになりましょう。」
私はまた危なっかしい方のお姫様抱っこをされて部屋に連行された。
怖くて必死に彼にしがみつく。
「あの、待ってください。実は2人きりでお話したいことがあります」
私に再び口づけしようとしてくる、レナード様を必死で抑えた。



