塔に閉じ込められたお姫様を助け出した王子様の名前がアランだった。
本当は私は童話やロマンス小説を読んで見たかった。
「非現実的なファンタジーな話は役に立たない、ただでさえ役に立たないお前にそのような話を読む権利などない」
私が本棚にあった童話を読んでいるのを見た父は思いっきりその本で私を何度も叩いた。
だから、怖くなってもう童話やロマンス小説のような本には触れないと誓った。
その時、見たのは王子様の口づけでお姫様が目覚めるような話だった。
私は一瞬で目が覚めてしまうような魔法のような口づけがあるのかと、ただ憧れるしかできなかった。
姉がいつも楽しそうに童話やロマンス小説を読んでいるのを見ながら、姉にしか読むのを許されないその本に憧れていた。
興味が持てない、私には面白さがわからないと自分に言い聞かせていた時、姉が本を置きっぱなしにして部屋に私が1人なった。
怖いけれど、どうしても読んで見たくてさらっとページをめくったのが魔女が塔にお姫様を閉じ込め王子様が助け出す話で、その王子様の名前が「アラン」だった。
姉は私が本を読みたいと察してくれて、わざと本を置いてくれたのだ。



