「私が醜いことなど、私が一番よく知ってますわ。だから、美しく聡明なお姉様ならもっとふさわしい幸せがあると思っていただけです。政治に興味がおありなのですか? カルマン公爵家に入ってくる情報をチェックできてますか?正直、情報のチェックも骨が折れますわ、私もうんざりしていたんです。この間、お姉さまはバーグ子爵家の鉱山からエメラルドがでるかもと言っていましたが、ただの感で言ったのですか? 政治に興味があるのなら当然チェックしておくべきですよ。やはり、私が紫色の瞳の女として皇宮入りしましょうか。陛下はなんだかボケっとしているし、暗闇で寝そべっていれば美しいお姉様と私を見間違ってくれるかもしれませんよ。私、男の人を喜ばすテクニックには自信があるんです」

調子に乗っていて勘違いしているような醜い女性を見たことがなく、全て妄想で言葉を紡いでいるが上手くできているだろうか。

どこに行けば、そのような女性に会えるのだろうか。
しっかりと研究してから戦いに挑むべきだったかもしれない。

「情報をチェックした上でエメラルド鉱山のことを言ったに決まっているでしょ。さっきから、会話が危なっかしくてとてもじゃないけどあなたを皇宮にはおけないわ」

姉の言葉に私は確信する。
姉は根っからのカルマン公爵家の女で、私をアーデン侯爵とくっつけようとするのは彼の失墜を狙ってのことだ。

「どうしてしまったの。ミリア、あなたが心配で仕方がないわ。あなたの言う通り私は窮屈な環境だけど、この場所で私は私の王子様を作ることにしたの。完璧な私の王子様。名前を発表するわ、アランよ」

急に姉が言って来た言葉に、私は突然記憶が読みがえる。