「私はサイラスが満点をとって嬉しいよ。一緒に頑張ってきた同士だから。私は、お父様が不正をしていたことが分かってその仕事を引き継ぐのが怖くて泣いてしまっただけ⋯⋯」
彼女はそう言うが、泣いた理由は絶対に俺が満点を取ったことで首位が維持できないと不安になったことだ。
なぜならカルマン公爵が不正をしていることなんて誰もがなんとなく気がついている。
彼女と長い間一緒にいてわかったことは、本当は彼女は公爵になりたいと思っていないこと。
彼女がなりたいのは王子様レナード・アーデンのお姫様だと分かっていた。
だけれど恐怖で支配し洗脳されてて、自分は女公爵になりたいのだと思い込まされている。
ミリアは確かに後継者になれるほど必死に頑張っていた。
でも、それは彼女の本当の望みを叶えるためではないと思った。
カルマン公爵は親戚から後継者選びをしたり、皇子を養子にして公爵の爵位を継がせるよりもミリアに継がせた方が良いと判断したのだろう。
彼女の成績でAがつき続けたように、アカデミーの教師をコントロールできる彼女ならカルマン公爵になるのに最適だ。
そして、周りが恐れるカルマン公爵も滅ぼせてしまいそうな政敵になるレナード・アーデンも彼女に明らかに惚れている気がする。



