頭では理解をしていても一途にレナード・アーデンにだけ憧れる夢見るお姫様ミリアに恋い焦がれていた俺には、彼以外の男と踊ってお姫様気分になった彼女が許せなかった。

「サイラスも全科目満点だったんだね。一緒に頑張った甲斐があったね」
放課後2人きりで勉強していると、ミリアが震えた声で言ってきた。

泣いているのではと思い顔をあげると、思った通り彼女は涙を流していた。

帝国貴族は人前で泣いてはいけない。
しかし、彼女が人前で見せてはいけない姿を見せてくれていることになぜか心が高揚した。

俺は彼女が彼女の王子様と踊ったことが許せなくて、気がつくと解答を抜かずにテストを提出していた。

提出した後ミリアが首位を取れなかったらどうしようと慌てたが、自分もアカデミーで首位で卒業するという目標を持っていたと思い出し気を鎮めた。

「俺が満点だと不安になるよね。大丈夫だよ。ミリア⋯⋯」
俺はなんとか彼女を慰めようとすると、彼女は全く違う自分が泣いた理由を言ってきた。