政敵を妄想の中でズタズタにするとは、さすがカルマン公爵家の女だ。
彼女の話の中に父親が登場しないのは、彼女にとって父親が恐怖の存在だからだ。
彼女と接してわかるのはカルマン公爵は彼女を恐怖によって支配し、自分の思い通りにしようとしていることだ。
ミリアは、いつも怯えていて何とか父を怒らせないようにしなければと考えていた。
だから公爵により不可能な成績を取るように言われて、なんとかしようともがいている。
俺はその彼女の気持ちをいち早く察して、恋人になった最低な人間だ。
「それで、私はその青年を2年間必死に看病するの、青年の正体は実は悪い公爵家に追いやられた王子様で私と彼は2年の間に心を通わせて結婚するのよ」
妄想の中で2年間も看病しなきゃいけない重傷を負わされているレナード・アーデンに不覚にも笑いそうになるも、やはり彼女は彼が好きなんだと思って少し落ち込んでしまった。
悪い公爵家は自分の家のことを投影している。
彼女は帝国から出た場所で、レナード・アーデンと一緒になりたいと思っているのだ。
彼女が帝国をこれほど怖がるのということは、もしかしたら先皇陛下がカルマン公爵家によって暗殺されたという噂は本当なのかもしれない。



