魅惑的で美しかったが紫色の瞳の公女は皇族の相手しかしないという暗黙の了解があり誰も近寄らなかった。

ミリア・カルマンはただでさえ早かったステラ・カルマン公女のデビュタントに合わせて一緒に社交界デビューしたので、実はかなり前から噂だけは父から聞いていた。

「本当に聡明で、優秀な可愛い子なんだけれど、政界の重鎮がもう彼女にべったりで最近ではなかなか近づけないよ」

話を聞いた時、相当なおやじキラーなんだなと思っていたが、まさか女である彼女がアカデミーに入学してくるとは思わなかった。

「カルマン公女、好きです、お付き合いしてください!」
彼女は入学するなり、クラスの半分から告白をされて困っていた。

無理もない、ミリア・カルマンは守ってあげたくなるような可愛らしいお姫様のような子だったのだ。

そして、親しみやすさも持ち合わせていてみんな彼女に夢中になった。

困っている彼女を見て、「カモフラージュ彼氏」を申し出たことで俺の首席で卒業する計画は全て崩れた。

入学して最初のテストで俺と彼女は満点を取り、2人でトップになった。

「ミリア、これからも一緒に切磋琢磨していこうね」
俺が握手しようと出した手に、彼女はそっと手を乗せてきた。

その瞬間、とてつもない胸の高鳴りを感じた。