「もちろんです。何なりとお申し付けください王子様」
私はなぜだか、お姫様ではなく付き人のような返事をしてしまった。
心の奥底で私は彼のお姫様として釣り合いがとれていないと感じているのが出てしまった。
「ふふっ、ミリアのピアノ演奏が聴きたいのですが、お願いできますか?」
彼が笑いを堪えるように言ってくるが、堪えられていない。
私は久しぶりにピアノを弾く。
胸の高鳴りを抑えながら私は演奏をした。
「ものすごい華やかな曲ですね。なんと言う曲ですか?」
曲を弾き終わると彼が拍手しながら聴いてくる。
「『あなたのお姫様になりたい』という曲です。あの、『2度と、私に話しかけないで』という曲を調べたのですが、わかりませんでした。もしかして、異国の曲でしたか?」
私は彼が前に言っていた『2度と、私に話しかけないで』という曲を彼の前で演奏するときは弾こうと思っていた。
しかし、いくら調べようとそんな曲はない。
私は異国の曲まで、できる限り確認したが見つからなかった。
「ミリアがアカデミー時代に弾いていた曲ですよ。あんなに情熱的で感情の篭った演奏を聴いたのは初めてでした。その上、ミリアのピアノスキルはプロのピアニストに勝るとも劣らないと思います」
彼が褒めてくれるので、嬉しくなってしまう。
しかし、私がストレス解消に音楽室でピアノを演奏してたのを聴かれていたと分かり恥ずかしくなった。
「『2度と、私に話しかけないで』は実は私が即興で作った曲なんです。いつも適当に弾いているので、お聴かせしたいのですがどんな曲を弾いたのか思い出せません」
私は貴族たちの前で演奏をする時はみんなが知っているようなクラシック音楽を弾いていた。
しかし、それ以外の時はその時の気持ちの赴くままに演奏をしている。



